弘法大師のご宝号

 真言宗の開祖 弘法大師 空海さまのご宝号は「南無大師遍照金剛」です。

 

「南無大師」とは、心から弘法大師に帰依して仕え、捧げること

遍照金剛」とは、真言宗のご本尊にして、大宇宙の生命そのものである大日如来の別名であり、また、弘法大師の別名です。

 

つまり、大日如来弘法大師は同体(即身成仏)であり、このご宝号を一心にお唱えすることによって、弘法大師大日如来、そして、大日如来とともにあるすべての諸仏諸菩薩がお唱えした方のもとに招請され、お力を与えてくださる(お加持)のです。

 

この宝号は、あまりにも短く、真言でもないし、単純な念仏ですので、わたしはこれまで軽視していたところがあったのですが、いまは朝晩、108遍づつお唱えして、お大師さまのお加持をいただけていることを強く実感しています。

ことに、四国八十八カ所霊場の巡礼を一周終えたときから、この宝号をお唱えすると、本当にお大師さまが見守ってくださっているなあと感じるようになりました。

 

観音さまも、観音経において、「一心にわが名を呼ぶならば、すぐにその音声を感得して、あらゆる苦難から救ってやろう」とおっしゃっておられます。

 

古来、多くの霊験が伝わる「般若心経」や「延命十句観音経」、「高王白衣観音経」も、先ず、お経の冒頭には観音さまのお名前を呼んでいます。

 

また、弘法大師和讃に、「ひたすら大師の宝号を 行住坐臥に唱うれば 加持の功力も顕らかに 仏の徳を現ずべし」ともあります。

 

お大師さまも、観音さまも、そのお力をいただきたいと願うなら、まずは一心にそのお名前をお唱えすることからはじまると思います。